メルセデス・ベンツ日本は、スポーツカー「メルセデス・ベンツ SLSAMG」を6月に発売した。フロントミッドシップ、トランスアクスル方式を採用し、前後の質量配分を47:53とした。ホイールベースは2680mm、価格は2430万円。納車は10月ごろをめどに準備中だ。

 エンジンは排気量6.3L・自然吸気V型8気筒の「M 159」。ベースとした「M 156」に対してピストンをはじめ120カ所以上を改良し、最大トルク650N・m/4750rpm、最高出力420kW/6800rpmを実現した。エンジンの乾燥質量は205kg。
 この結果、0~100km/h加速は3.8秒、最高速度は317km/h(リミッタ作動)。応答性も高め、スロットル全開までの時間を0.15秒とした。NEDC(新欧州走行サイクル)総合燃費は13.2L/100km(7.6km/L)。EU5、LEV2、ULEVなど、これから実施する予定のものを含めた排ガス基準に適合した。
 潤滑方式をドライサンプとしてエンジンを搭載する位置を低くし、横加速度の高い旋回でも油切れを起こさないようにした。フロントミッドシップで前が空いていることを生かし、オイルタンクをエンジンより前、ステアリングギアの上に収容した(図)。なお、トヨタのスポーツカー「LFA」もドライサンプだが、オイルタンクはAピラー側に置いている。

以下、『日経Automotive Technology』2010年9月号に掲載
図 エンジン潤滑はドライサンプ
タンクはエンジンの前に置く。