日産自動車は、小型車の「マーチ」を全面改良して7月に発売した。中国、インド、メキシコ、タイの新興4国で集中生産し、世界160カ国で販売する世界戦略車だ。新開発の軽量プラットフォームとアイドリングストップ機構を搭載した新型エンジンで、26km/Lというクラス最高水準の燃費を実現した。

 従来型マーチのユーザーから最も改善の要望が多かったのは「燃費をもっと良くしてほしい」ということだったという。この要望に応え、新型マーチは売れ筋の中間グレードで10・15モード燃費26km/Lというクラストップの数値を実現した。従来型マーチ(1.2L、4速自動変速機仕様)の19km/Lに対し37%もの改善である。これを実現した要素技術が、新開発の排気量1.2L・直列3気筒の「HR12DEエンジン」、副変速機付きCVT(無段変速機)、そして日産車として初めて採用したアイドリングストップ機構である(図)。
 新開発のHR12DEエンジンは、基本的な成り立ちとしては排気量1.6Lの直列4気筒エンジン「HR16DE」から1気筒を取り去ったもの。従来型マーチが搭載していた1.2L・直列4気筒の「CR12DE」エンジンに比べると、3気筒化することによって、1気筒当たりのシリンダ容積に対するシリンダ表面積が小さくなり、熱損失が減るので熱効率を2%向上させることができた。

以下、『日経Automotive Technology』2010年9月号に掲載
図 新開発の「HR12DE」エンジンと副変速機付きCVT(無段変速機)
中間グレードと上級グレードにはアイドリングストップ機構を標準装備した。