アンダーソン・毛利・友常法律事務所(本社東京)は2010年5月28日、弁護士の姫軍氏を講師に招き、中国の知的財産法制に関するセミナーを開いた。2009年10月1日に中国の特許法、2010年2月1日に同法実施細則の改正が施行したことを受け、日本のメーカーが知っておくべき要点を解説した(表)。

 中国の知的財産法制はこれまで、日本を含む海外のメーカーにとって不利な規定が多かった。今回の改正では、この点でいくつかの改善が見られた。

 まず、海外メーカーにとって最も喜ばしい改正点は、先行技術(公知の技術)の対象範囲の拡大だと指摘する。

 特許権を与えられる発明・実用新案は、新規性、進歩性および実用性を有していなければならない。この点においては、中国も先進諸国も同じだ。しかし中国では、この新規性、進歩性の定義が、改正前は「(中国)国内において実施されていない、またはその他の方法で公衆に知られていない技術」とされていた。つまり、海外で公知されている技術は先行技術とは見なされない。これが、海外メーカーの悩みの種だった。

〔以下、日経ものづくり2010年7月号に掲載〕

表●中国特許法と同法実施細則の改正点の抜粋
「○」は日本メーカーにとっておおむね有利な事項。しかし、「知的財産権の侵害賠償額」では、提訴される場合は不利になるなど注意も必要。「△」は、多少の改善が図られた事項。「×」は、日本メーカーにとってリスク増大の可能性がある。
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