国際会議ではしばしばCO2排出枠の削減に反対する中国。ところが,中国の国内や企業レベルに目をやると全く別の姿が見えてくる。風力発電の設置や太陽電池の生産では世界を牽引し,EVの開発にも本腰を入れ始めた。中国企業の新エネルギーへの取り組みの最前線を,上海万博と太陽発電万博の両万博を中心に報告する。

風力発電と太陽電池で世界をリード

 中国・上海市で,2010年5月に二つの「万博」が開催された。一つは,「上海国際博覧会」(上海万博)。もう一つは,太陽光発電(PV)システムの展示会と国際会議「SNEC 4th(2011)International Photovoltaic Power Generation Conference & Exhibition」である。これは,1400社以上が参加するなど太陽光発電関連で世界最大級の規模を誇ることから「太陽発電万博」と呼ばれる。

 高度経済成長を続ける中国は,ここ数年,再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などの環境分野への投資や技術開発に関しても,世界の中で急速に存在感を増している。例えば,風力発電プラントの設置量の国・地域別ランキングで2007年は世界3位だったが,2008年は2位,そして2009年は米国に大きな差をつけてトップに躍り出た。

中国抜きでは語れない

 太陽電池の国・地域別の生産能力/生産規模では2007年時点で既に世界1位となり,その後は他国に水をあける一方である。中国は生産した太陽電池の約95%を輸出しており,同国内での設置量はまだ少ない。ただ,それも今後,急激に増える見通しである。中国は,国家戦略として2020年までに計20GW以上の太陽光発電を国内に導入する目標を掲げている。2011年には,太陽光発電システムの設置量で国・地域別ランキングの上位に入ってくるとみる調査会社の報告もある。もはや中国抜きでは,新エネルギーを語ることができなくなっているのだ。

『日経エレクトロニクス』2010年5月31日号より一部掲載

5月31日号を1部買う