米Tesla Motors 社が開拓した米国の電気自動車(EV)市場。2010年末に日産自動車、米Ford Motor社などが参入し、販売が本格化する。その開発資金を支えているのはDOE(米エネルギ省)の巨額融資だ。

 2010年末、米国ではEVの販売が本格化する。日産自動車が「リーフ」を発売するほか、Ford Motor社が小型商用車「Transit Connect EV」を発売予定。このほか新興メーカーでは、カリフォルニア州に本社を置く米Coda Automotive社も5人乗りの「Coda Sedan」を2010年半ばから発売する。米Fisker Automotive社も約80kmEV走行できるPHEV(プラグインハイブリッド車)の「Karma」の発売を予定する。
 まだEVの市場が確立していない中でこうした電動化車両が相次いで発売されるのは、自動車メーカーを支援するDOEの融資があるからだ。2007年に米議会が承認したAdvanced Technology Vehicles Manufacturing Loan Program(以下ATVMローンプログラム)からの融資を前提として各自動車メーカーはEVの生産計画を立案している。
 同プログラムはEVやPHEVを米国内で製造する場合、車両の開発費用、新規工場の建設費用、既存工場の改修費用などの資金を貸し出す。総額が250億ドル(1ドル92円換算で2兆3000億円)に及ぶ巨額の融資だ。
 DOEは2009年6月に、同プログラムの融資先として以下を決定している。Ford社向けの59億ドル(5428億円)、Tesla社向けの4億6500万ドル(427億8000万円)である。また、同年9月にはFisker社に、Karmaの開発費用として1億6930万ドル、「Kx facility(同社がNina Programと呼ぶプロジェクト)」に対し3億5940万ドルの合計で5億2870万ドル(486億4040万円)の融資を決定した。また、米Nissan North America社は、2010年1月にDOEからの融資金額が14億ドル(約1288億円)になったと公表した(表)。

以下,『日経Automotive Technology』2010年7月号に掲載
表 DOE(米エネルギ省)のAdvanced Technology Vehicles Manufacturing Loan Programの融資先