経済危機による打撃からクルマの販売を回復させるために、クルマには安いことが求められる。また、緊急の課題である燃費を良くするために、軽いことは重要だ。4月に日経BP社が開催した「Automotive Technology Day 2010 spring」ではこうした問題意識に対する解決法の提案が相次いだ(図)

 トラックA「クルマを安くする製造技術」で、最初に登壇したアルテックインダストリアルソリューション事業本部ポリマープロセス事業部複合材グループの岩渕政史氏が、射出成形機と材料コンパウンディング押出機を一体にしたドイツKrauss Maff ei社製の成形機を紹介した。高価なコンパウンド材を購入せずに済み、FRP(繊維強化プラスチック)を安く作れる。
 続いて深井製作所技術本部開発部開発課課長の須永行氏が、ハニカム・エンボス技術について講演した。床下部品の遮熱板では、エンボス加工をして剛性を与える技術が普及している。シミュレーションを使って形状を最適化し、性能を向上した技術を紹介した。遮熱板以外にも、シートの底板などに応用すれば、使い慣れた材料のまま、クルマをもっと軽く、安くできる可能性を示した。

以下,『日経Automotive Technology』2010年7月号に掲載
図 会場は東京都千代田区の「ベルサール神田」