富士ゼロックスは、2009年末に発売した新製品の開発プロセスにおいて、設計者を支援するための新たな手法を採り入れることで開発期間を大幅に短縮した。その秘訣は、開発の初期段階から数値シミュレーション(CAE)を積極的に使うことと、設計者と解析技術者が連携(協業)しやすい環境を整えたことである。
製品競争力を高めつつ…
その新製品は、中小企業向けA3判フルカラー複合機の「DocuCenter-IV C2260」(以下C2260)だ(図)。富士ゼロックスはこれまで、いわゆるローエンド市場向けのラインアップが手薄だったため、C2260では既存機種を大幅に上回る製品競争力を付与する必要があった。特にこの市場でニーズが高いのは、設置スペースだ。従って、本体を小型化するためにほとんどの部分を新規設計したという。それにもかかわらず「開発期間は従来の2/3に短縮した」(C2260の開発を主導した、同社商品開発部第二商品開発部マネジャーの丸田敏浩氏)のである。
開発期間の短縮は、同社に限らず大抵の企業が取り組んでいる課題だ。だが、多くの企業で思うようにできていないのが実情である。見た目には開発期間が縮まっていても、その分だけ多めに人員を投入していたり、開発期間以外の指標(コストや品質)にマイナスの影響が出ていたりする場合が少なくない。
〔以下、日経ものづくり2010年5月号に掲載〕