「山田日登志のこれがムダなんや」は、生産現場におけるムダとりのコツをクイズ形式で学べるコラム。実在する工場で見つかったムダの写真から、そのどこにムダがあるかを見つけ出すことで「ムダとりの目」を養ってもらうことを狙う。

 前回(2010年4月号)は、外部から調達する部材の管理手法を取り上げた。今回は、工程間において物をどのように管理すればよいかを学ぶ。舞台は前回に引き続き、減速機付きモータなどを開発・設計・製造・販売するシグマー技研(本社三重県・東員町)だ。

「先生、これどうしたらええんや」

 2010年2月、同社代表取締役社長の林司氏は、2度目の指導に訪れた山田日登志氏に向かってこう質問した。

「ねじの管理は分かりましたけど、軸受はどうしたらええですか」
「軸受も同じやよ。君ら、在庫を少なくしたいなら管理の精度を上げな。過去3カ月の出荷台数を見て、来月必要なんはどれだけか把握しんと…」

 山田氏はそこまで言うと、ふと軸受の部品棚の横に設置されていたストアに目を移した。それが上の写真である。減速機付きモータの完成品組立工程のすぐそばにあったものだ。

「なんでこれがここにあるんや」

 山田氏の檄が飛ぶ。このストア、本来はどこにあるべきものだろうか。

〔以下、日経ものづくり2010年5月号に掲載〕

山田日登志(やまだ・ひとし)
トヨタ生産方式を270社に導入した経験を持つコンサルタント。岐阜県生産性本部在籍中に大野耐一氏と出会い、1971年から師事。1978年にカイゼン・リーダーを育成するPEC産業教育センターを設立し、所長に就任。ソニーを指導中にセル生産の基礎を築いた。