これまでは、実社会で生じる課題を解決できる数理科学とは、どのようなものかを説明してきました。この数理科学を活用するには、ある考え方を持つことが非常に重要になります。そこで前回(2010年4月号)、次のようなクイズを出しました。その考え方とは次のうちどれか、皆さんは分かりましたか。
A. 異なるものを同じと言う勇気を持つ
B. 同じものを異なると言う勇気を持つ
C. 異なるものを異なると言う勇気を持つ
正解は、Aの「異なるものを同じと言う」です。
(ボードに下掲の文字を書いていく)
これ、すっごく大事。どの過程でこういう思想のようなものが形成されるのか分かりませんが、私たちの中には、異なるものを同じと言える人とそうでない人がいます。この間、実際に私が学会で聞いた言い争いの例をご紹介しましょう。議題は、血管のダイナミクスに関するものでした。
〔以下、日経ものづくり2010年5月号に掲載〕
東京大学 教授