液晶テレビへの本格搭載が始まったLEDバックライト。テレビ・メーカー各社は2010年に,合計で5000万台もの出荷を計画する。大量販売のカギを握る,普及価格帯に向けた製品も数多く登場してきた。LEDバックライトがブームで終わらずに市民権を得るには今後,高い画質と低いコストを両立する要素技術の開発が必要になる。急激な普及を支えるために,LEDチップのサプライ・チェーンを見直す必要も出てくる。

 韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が約1200万台,韓国LG Electronics,Inc.とシャープ,ソニーがそれぞれ約700万台,米VIZIO, Inc.が約500万台──。

 これらは,2010年にテレビ・メーカー各社が計画する,LEDバックライト搭載の液晶テレビの販売数に関するディスプレイサーチの調査結果である。すべてのテレビ・メーカーの出荷計画を合わせると,約5000万台に達する。2009年における総出荷台数の10倍以上となる数字だ。2010年は,液晶テレビへのLEDバックライト搭載が一気に進む1年となりそうだ。

 LEDバックライト搭載の液晶テレビは,Samsung社が2009年春に本格搭載に踏み切った。「LED TV」と命名した戦略が功を奏し,2009年には約260万台を売り上げ,LEDバックライト搭載品で一気に圧倒的なトップシェアを獲得した。競合メーカー各社は,LED搭載品を拡充しつつコスト低減を進めるなど,巻き返しに必死だ。

LEDの使いこなしが重要に

 液晶テレビへの搭載が当たり前になっていくLEDバックライト。テレビ・メーカー各社には,LED採用により,消費者にどういった付加価値を提供できるかが求められている。

 LEDバックライトは,CCFL(冷陰極蛍光管)バックライトに比べて,薄型化や高画質化,低消費電力化などを実現できるとされる。テレビ・メーカー各社はこれまで,上位機種を中心にLEDバックライトの採用を進めており,性能競争を繰り広げてきた。厚さが10mmを切る機種や,色再現範囲をNTSC比で100%超を実現する機種などが市場投入済みだ。LEDバックライト搭載機が普及期を迎えつつある現在,メーカー各社は性能を高めながら,いかに低価格化を実現できるかを模索し始めている。

『日経エレクトロニクス』2010年4月5日号より一部掲載

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