ソニーのレーザ・モジュールと,レーザ光源を利用した前面投射型プロジェクターの例

 ソニーはいよいよ,大型プロジェクターに向けて,半導体レーザや固体レーザを用いるモジュールを実用化する。100%子会社であるソニーマニュファクチュアリングシステムズに技術移管し,同社を通じて2010年後半からサンプル出荷を始める予定。映画館にあるような,対角10~20mほどのスクリーンに映像を投射するために1万~3万ANSIルーメンの光源が必要な大型プロジェクターを主に狙いたい考えだ。

 今回のレーザ・モジュールの特徴は,光出力とエネルギー変換効率が高く,小型である上,高圧水銀(UHP)ランプ利用時と同等以下のコストに抑えたことである。このうち,実用化できるようになった最大の要因がコスト面の抑制だ。レーザの寿命は1万時間以上と,一般的なUHPランプの数倍の寿命を確保してランプの交換費用を抑制できる。加えて,部品点数の削減などで,「運用コストなどを含め,10年間に掛かるコストを既存のランプ以下にできるだろう」(ソニー)とみる。

 プロジェクターでは,既に超小型品や,一部の据置型の品種で,レーザ光源を利用したものが製品化されてきた。UHPランプに比べて光学部品の削減に向く上,色再現範囲が広いといった映像品質向上が望めるからだ。今回,ランプ以下のトータル・コストまで抑制したことで,大型プロジェクターでもレーザ光源の採用が一気に進む可能性が出てきた。

『日経エレクトロニクス』2010年4月5日号より一部掲載

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