エンジンが同じでも変速機が進化すれば燃費は格段に向上する。進化の主流は自動変速機の多段化と無段変速機の採用であり、この傾向は今後も続く。このうち無段変速機では変速比幅を拡大し、小型・軽量化した新世代品が登場している。無段変速機で世界シェアの40%以上を握るジヤトコに最新の技術動向を聞いた。

 変速機はこの数十年間で大きく多様化した。1970年代は手動変速機(MT)と3速自動変速機(AT)くらいしかなかったが、1987年には富士重工業から金属ベルト式の無段変速機(CVT)が登場した。それ以降、特に小型車の分野でCVTの採用が広がった(図)。
 ここ10年間は、遊星歯車を使ったハイブリッド車用変速機、MTをベースに2ペダル化したAutomated Manual Transmission(AMT)、2組のクラッチを使って奇数段と偶数段の変速歯車を切り替えるDual Clutch Transmission(DCT)といった新たな変速機が登場するとともに、ATの多段化が進み、車両の特性に応じた変速機が使われるようになっている。
 1990年代に燃費規制の強化が進んだことや電子制御の進歩によって、エンジンを効率のよい回転数で運転できるCVTはより大型のモデルにも採用が広がっている。
 ジヤトコは1997年に排気量2.0Lクラスのエンジンに対応したFF(前部エンジン・前輪駆動)車用CVTを日産自動車向けに供給し始めた。1999年には日産と共同で高トルクのFR(前部エンジン・後輪駆動)車向けにハーフトロイダル式CVTも実用化した。

以下,『日経Automotive Technology』2010年5月号に掲載
図 世界販売台数における搭載変速機の予測
2015年においては6速自動変速機の次にCVTのシェアが高まると予想している(出典:米CSM Worldwide社とジヤトコの共同予測)。