大学生や高等専門学校生が参加する「ロボコン」(ロボットコンテスト)は,最近では国際大会もできて世界中の工科系学生が夢中になっている。そもそも我が国発祥のコンテストなのだが,最近では新興国の大学に負けることもあり,どうも我が国の学生の分が悪い。

 ところで,「スターリングテクノラリー」をご存じだろうか。スターリングとは,外燃機関の一種であるスターリング・エンジンを意味する。つまり,スターリング・エンジンを使うコンテストのことだ。1997年に始まり,2009年で13回を数える。条件を決めて製作したロボットに課題を与えて競い合うロボコンと同じように,スターリングテクノラリーもさまざまな条件や課題の下で機器の性能を競う。だが,スターリングテクノラリーには,いくつかの特徴的な条件がある。

 まず,機器の原動力がスターリング・エンジンであることは絶対条件。ロボコンでは多くの場合,動力はモータであり,それも,どのチームも同一であることが義務付けられている。一方,スターリングテクノラリーでは,使用するスターリング・エンジンそのものを開発しなければならない。その性能の差がものをいうのだ。

〔以下,日経ものづくり2010年2月号に掲載〕

多喜義彦(たき・よしひこ)
システム・インテグレーション 代表取締役
1951年生まれ。1988年システム・インテグレーション設立,代表取締役に。現在,40数社の顧問,NPO日本知的財産戦略協議会理事長,宇宙航空研究開発機構知財アドバイザー,日本特許情報機構理事,金沢大学や九州工業大学の客員教授などを務める。