「新人にも分かる 工場安全のツボ」は,生産現場における本質安全構築の基礎を学べるQ&A方式のコラムです。現場で悩むことの多い工場安全の疑問とその回答を通じて,真の工場安全を実現するために必要な考え方や手法を紹介していきます。

【Q】工場で使うコンベヤを設計することになりました。安全上配慮すべき点は何ですか?

 コンベヤは,生産現場などにおいて仕掛かり品や原材料(樹脂ペレットや金属など)を運搬する用途に広く用いられています。設置場所も,組立ラインや加工ラインの工作機械同士の間,人手によるピッキング(選別など)工程,入荷場や出荷場といった具合にさまざまです。製造業以外では,特に物流・運送業のコンベヤラインなどは大掛かりなものが多く,分岐も複雑なため,それに応じて各種制御も高度になっています。

 多様な用途に応じて,コンベヤには多くの種類があります。コンベヤを設計する際は,それぞれのタイプでどのような事故・災害が起き得るのか,十分に把握しておかねばなりません。今回は,広く用いられているベルトコンベヤとローラコンベヤを採り上げます。これらで最も多い事故・災害は,挟まれと巻き込まれです。代表的な例として,以下が挙げられます。
◆ベルトと駆動軸の間に手や指が引き込まれる
◆ベルトと両側の落下防止板の間に手や指が挟まれる
◆ローラ同士の間に手や指が挟まれる

〔以下,日経ものづくり2009年12月号に掲載〕

西原一寛(にしはら・いっかん)
IDEC 規格安全ソリューションセンター
IDEC技術本部規格安全ソリューションセンター室長。各種検出制御機器・機械安全制御機器・防爆安全制御機器の製品開発および事業企画に従事。現在,安全関連の講演のほか,機械装置メーカー/ユーザーに対し,リスクアセスメント支援を行う。セーフティ・リードアセッサ資格を有する。
前田育男(まえだ・いくお)
IDEC 規格安全ソリューションセンター
機械,制御,安全,防爆などに関する国際規格,欧州・北米各国規格/規制に基づく製品認証関連業務やリスクアセスメント支援に従事。現在,制御・安全技術に関するIEC(国際電気標準会議)の委員をはじめ,ロボット技術,防爆技術,機能安全技術,半導体製造装置関連の標準化活動に携わる。セーフティ・リードアセッサ資格を有する。
関野芳雄(せきの・よしお)
IDEC 規格安全ソリューションセンター
安全制御設計技術者として多くの製品開発に携わり,現在は,グローバルに通用する本質安全設計/安全防護の考え方などの安全技術指導や安全システム設計に従事。ISOロボット安全規格作成の国際委員としての経験を基に,機械メーカー/ユーザーに対する各種リスクアセスメント支援を行う。セーフティ・リードアセッサ資格を有する。
岡田和也(おかだ・かずや)
IDEC 規格安全ソリューションセンター
安全機器,システム,ネットワークなど,安全制御設計技術者としての経験を有し,現在は,ロボット制御セル生産システムのリスクアセスメントや安全システム設計に従事。ISOロボット安全規格の国際委員会委員,安全応用研究会専門委員会委員などの規格関連委員を務める。セーフティ・リードアセッサ資格を有する。