突然の退職勧告
あなたならどうする?

 「会社に残ってもやることはないし,今辞めないと割増金は出ないよ」。今年50歳になるAさんは,会社からこう切り出された。

 Aさんは通信機器などを主力とする大手メーカーに入社し,これまでの25年間を半導体技術者として,主に研究・開発部門で過ごしてきた。自ら企画したアイデアを基に社内ベンチャーを興して商品化するなど,与えられる仕事以上のことをしてきた自負はある。ただ,この半年間は会社からの締め付けが厳しく,「経費は使うな,出張はおろか外出も控えろ」といった状態だった。いずれ大なたが振るわれることは覚悟していた。しかし,まさか自分が所属する事業所が閉鎖されるとは思ってもみなかった。

ここでリセットだ

 2009年4月に2度目の早期退職勧告が行われた時,Aさんは会社を辞めることを決断した。過去にヘッド・ハンティングの話はいくつかあったが,外に出るよりも会社を良い方向に持っていきたいと考えていた。それもかなわぬとあれば未練はない。

『日経エレクトロニクス』2009年11月16日号より一部掲載

11月16日号を1部買う

第1部<意識改革>
厳しい現実を認識し
チャンスづくりを習慣化する

技術者の就業環境が厳しさを増している。特に35歳以上の技術者は需給の大きなギャップに直面している。未来を開く近道は,チャンスを作り出す習慣を身に付けることである。

急速に悪化した転職・就業環境
インテリジェンスの転職サイト「DODA」では電機,電子,機械系技術者の求人が2008年秋以降大きく減った。分野が近いIT,通信系技術者でも同様の傾向だ。

 下りのエスカレーターに乗せられている──。日本のエレクトロニクス(電機・精密・半導体・電子部品)企業に勤める技術者を取り巻く環境は,こう表現できる。現在実施されている大規模な人員削減や配置転換は,当面やむことがなさそうだ。人材ビジネスのプロたちは,口をそろえて言う。「今の不況が一段落すればエレクトロニクス業界における雇用情勢が好転する,とは到底思えない」と。

“リーマン”のせいのみならず

 現況を確認しよう。電機大手9社(日立製作所,パナソニック,ソニー,東芝,富士通,NEC,三菱電機,シャープ,三洋電機)は2009年2月,合計で6万人を超える人員削減をそれぞれ発表した。

 こうしたコスト抑制策から,エレクトロニクス企業が集まる地区の,あるハローワークでは,強烈な人材の供給過多が起きている。「当所における求職者は2009年7月に,前年比42%増。一方で月間有効求人数は同47%減。このため,有効求人倍率はたった0. 38。10数年やってきて,ここまで悪いのは初めて」(ある職業指導官)。

『日経エレクトロニクス』2009年11月16日号より一部掲載

11月16日号を1部買う

第2部<事例に学ぶ>
やりたいことを続けるために
転職はむしろチャンス

実際に転職を経験し,新しい環境で活躍している技術者は多くいる。そうした方々の中から職種や経歴が異なる七つの事例を紹介する。そこには転職をむしろ好機として,うまく活用するためのポイントがある。

『日経エレクトロニクス』2009年11月16日号より一部掲載

11月16日号を1部買う