今回開発したβ-サイアロン緑色蛍光体(写真:電気化学工業)

 電気化学工業は,β-サイアロン緑色蛍光体を実用化した。青色LEDに緑色と赤色の蛍光体を組み合わせた,高演色タイプの白色LEDに向ける。一般的なシリケート系の緑色蛍光体に比べて,温度上昇による発光強度の低下が小さい特徴がある。液晶テレビのバックライト用白色LEDなどへの採用を期待する。

 白色LEDは,長時間の点灯で温度が「チップ直上で100~150℃」(同社)に達する。シリケート系の緑色蛍光体を使った白色LEDでは,緑色の発光強度が低下し,色のバランスが崩れる問題があった。そのため,液晶テレビなどのLEDバックライトには十分な放熱機構が不可欠だった。

 今回の緑色蛍光体は原子間の共有結合性が高いため温度に対して構造が安定で,発光強度の変動が少ない。高温でも色の変化が小さい白色LEDなら,バックライトの放熱機構を簡素化できる。価格はシリケート系のものと比べて「数倍」(同社 電子材料事業本部 電子材料事業部 電子部材部次長の沢田純一氏)高いが,開発品を採用した白色LEDにより最終製品のコストダウンにつながるとする。

『日経エレクトロニクス』2009年10月19日号より一部掲載


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