島田 卓
インド・ビジネス・センター 社長

 「我々が目指すのは,インドをエネルギー効率の良い経済社会にすることです。一定の時間をかけて徐々に化石燃料からの脱却を図り,再生可能なエネルギー源の活用に向けた行動を起こす必要があります。その行動で中心的役割を果たすのは,当然のことながら太陽です。我が国が有する科学や技術,そしてその運営能力を駆使し,資金面での手当てを行い,インドの経済発展と国民の生活水準の向上を図るための電力を獲得するよう,太陽光発電の開発を推し進めます。この行動計画が成功したとき,インドの社会は変わり,世界中の人々の未来も変わるでしょう」。

 これはインド首相のManmohan Singh氏が2008年6月30日に,気候変動に対応する国家行動計画の発表に際して述べたものである。Singh氏は,“太陽の国インド(Solar India)”の名の下に,「国家太陽光ミッション」という国家行動計画を発進させた。

 2050年までを視野に入れた目標は,次のようになる。(1)2020年までに太陽光発電による発電能力を20GWにし,その後2030年には 100GW,2050年には200GWにまで高める,(2)コスト削減によって2020年までに「グリッド・タリフ・パリティ(発電コストと電力売り上げが同等になること)」を実現する,(3)2030年までに太陽光発電のコストを石炭火力発電と同等にまで下げる。

 この件に関する審議会は2009年8月3日に,詰めの協議を行った。その結果,向こう30年間の総事業費は9168.4億ルピー(1ルピー=約1.9円換算で1兆7420億円)となった。太陽光発電所の建設や太陽光発電設備,機器の製造,技術開発などに向けて,補助金政策などさまざまな支援策が同協議で検討されたという。

伸び続けるエネルギー需要
『日経エレクトロニクス』2009年10月5日号より一部掲載

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