インターネット接続事業者や通信事業者が続々と家電事業に参入している。彼らの狙いは,Webサービスと家電を垂直統合すること。先駆者の1社であるフリービットの戦略から,新たなビジネスモデルのつくり方を探る。

小規模ながら着実に良くなっている収益力

 「家電が果たす役割を大きく変える」と宣言し,異業種からインターネットを活用した家電(Web家電)事業に参入するベンチャーがある。石田宏樹氏が率いるフリービットである。石田氏は三菱電機の子会社がインターネット接続事業者(ISP)であるドリーム・トレイン・インターネット(DTI)を立ち上げた際に中核メンバーとして係わった実績で知られる人物だ。

 ISP業務の受託から2000年にスタートしたフリービットは,徐々に事業領域を拡大してきた。2007年には石田氏の古巣であるDTIを完全子会社化するとともに,ソニーの前CEOである出井伸之氏が取締役に就いたことでも話題を集めた。2009年4月決算の連結売上高は 108億円,経常利益率は14.1%である。

 フリービットは2009年3月に中国の家電製造業者に太いコネクションを持つエグゼモードに出資。パソコンにUSB接続するだけで画像をWebに公開できるという,これまでにない特徴を備えたデジタル・カメラやビデオ・カメラを,2009年4月からDTIの新規加入者に配布している。これらは「ServersMan Mini」と呼ぶ家電向けWebサーバー・ソフトウエアを備えている。2010年4月までには,同じ特徴を備えた小型ビデオ・カメラをエグゼモードから発売する予定だ

『日経エレクトロニクス』2009年9月7日号より一部掲載

9月7日号を1部買う