531nmでパルス発振

 プロジェクターの光源などに利用する,赤色,緑色,青色の3原色の半導体レーザがついに,すべてそろう。住友電気工業が半導体レーザで,波長531nmの緑色レーザ光のパルス発振に成功した。既に赤色と青色の半導体レーザは製品化済みだが,530nm程度の緑色レーザ光を直接発振できる半導体レーザはこれまで存在しなかった。そのため,1064nmの赤外レーザ光をSHG結晶によって波長変換し,532nmの緑色レーザ光を得るしかなかった。

 緑色レーザ光のパルス発振に成功したことで,波長変換などの処理が不要になる。これにより,レーザ光源を利用するプロジェクターのコスト低減や消費電力の削減,小型化につながると期待されている。

 住友電気工業の緑色半導体レーザは,Blu-ray Discで利用される青紫色半導体レーザと同じく,活性層にInGaNを用いる。違いは,その成長面にある。今回,GaN結晶の「半極性面」を用いた。これが緑色半導体レーザの実現につながった。

『日経エレクトロニクス』2009年8月24日号より一部掲載

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