高級コンパクト機「GR DIGITAL」のコンセプトが決まった。想定ユーザーに好まれる外観とは何か。レンズをどうやって委託先に造ってもらうか。どう消費者にアピールするか。現場の奮闘が始まった。

(写真:加藤 康)

 小さな本体に,解像力が高いレンズを備え,2年に及ぶ期間,販売できること。リコーは2004年,高級コンパクト機「GR DIGITAL」のあるべき姿をこう定義した。

 ここから導き出された開発のポイントは主に二つあった。第1は,銀塩カメラの「GR」シリーズを想起させ,プロやハイ・アマチュアに好まれる外観を備えること。第2は,本体の厚さ25mmに収まる,小型で高画質なレンズ・ユニットを,台湾のODM/EMS企業に製造させることである。

 この一方で,開発期間や費用の制約から,リコーの従来機種からの画像処理LSI(ASSP)やGUIの抜本改良などは先送りにした。それでも,前述の二つを確実に実現すれば顧客を満足させられるとリコーは踏んだ。

『日経エレクトロニクス』2009年8月24日号より一部掲載

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