前回は,世相を反映して緊急割り込みを試みた。いささか本コラムのリズムを壊してしまったかもしれないと危惧しているが,日本企業が再び強さを取り戻すためにはどうしても避けられないテーマだった。ご理解いただければ幸いだ。
さて,寄り道はここまでとし,今回から再び,本流に戻して話を展開していく。復帰第一弾は,原価企画の入り口である,顧客ニーズの把握の仕方と商品企画のまとめ方について。
不満を顕在化する生活研究
本コラムの第1回で,のどあめを包む銀紙の不愉快さと,それをのどあめメーカーに伝えないために不満が顕在化しないことについて触れた(脚注だったので,ご記憶にない方もおられるのでは…)。
実は,私は本誌の前身である『日経メカニカル』でも2年にわたってコラム「続・元気が出るVE」を執筆してきたが,そこでも同じような不満の非顕在化(潜在化)を指摘してきた。当時例に挙げたのは,手や顔を洗うとびしょびしょにぬれてしまうホテルなどの洗面台や,街角に山積みにされて特に夏場には悪臭や異臭などの原因にもなるゴミ袋,街の美観を損なうだけではなく道路交通の妨げにもなる電柱などだった(図)。
〔以下,日経ものづくり2009年8月号に掲載〕
VPM技術研究所 所長