早朝6時半。宮崎県都城市にある新福青果の朝は早い。農場で働く作業者が次々と事務所の前に集まり,準備を進めていく。その中で,他の農場では見られない,手のひらサイズの白い装置を,作業者が身に着ける(図)。

 この装置は,作業者が始業から終業までどのように移動したのか,つまり各作業者について時系列の位置情報をGPSによって記録する機能を持つ。夕方,事務所に戻ってきた作業者はGPS端末をパソコンに接続し,データを転送するのが日課となっている。

 このGPSを使った情報収集システムはまだ検証段階だが,導入の背景には新福青果の農場が広大かつ分散していることがある。現在の農場は事務所から10km以内の範囲に273カ所あり,総面積は93haに及ぶ。この広大な農場の面倒を,基本的に約5人の作業者で見ているのだ。

〔以下,日経ものづくり2009年8月号に掲載〕

図●作業者が身に着けるGPS端末
作業者の1日の行動を記録する。終業後,パソコンに接続してデータを転送する。