NECエレクトロニクスとルネサステクノロジが,経営統合に向けた協議を開始した。統合後は売上高で世界第3位の半導体メーカーになる見通しだが,製品の重複や高コスト体質など,課題は山積している。統合後のあるべき姿について,2009年6月にNECエレクトロニクスの新社長に就任した山口氏に聞いた。(聞き手は本誌編集長 田野倉 保雄,同副編集長 大石 基之,木村 雅秀)

(写真:皆木 優子)

─ルネサス テクノロジとの経営統合では,重複する製品の整理/統合が重要な課題になりますが,どのように進めますか。

 基本的に強い製品に一本化する方針です。顧客に合わせて既に設計している製品は,急には止められませんが,将来の製品については競争力のある方に合わせていきます。2009年7月末に統合契約が決まり次第,専門チームを立ち上げて製品の整理/統合を進めます。顧客には新しい製品ロードマップの採用を促します。

─マイコンに関しては両社が独自のアーキテクチャを展開していますが,統合できるのでしょうか。

 マイコンのアーキテクチャを変えることは,顧客にソフトウエアの変更を強いることになりますので,急には無理でしょう。ただ,新しい製品については顧客と議論しながら,どちらか強い方のアーキテクチャに統一していきます。それぞれ得意分野が異なっており,できるだけ重複しないように製品の整理/統合を進め,余った人員を競争力のある分野に再配置していきます。

 こうした考え方は,僕らとルネサステクノロジとの間でおおむね合意できていますので,あとはトップダウンで進めていきたいと考えています。製品の整理/統合は,ボトムアップでは絶対にできません。製品は,技術者にとっては子供みたいなものですから。トップダウンでいかに早く製品の整理/統合を実行するかが勝負になると思います。

『日経エレクトロニクス』2009年7月27日号より一部掲載

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