トヨタ自動車 第2技術開発本部 HVシステム開発統括部 HVシステム開発室長 高岡俊文氏
新型プリウスのハイブリッドシステムの開発責任者。初代プリウスを皮切りに、様々なトヨタ自動車のハイブリッド車開発に携わってきた。

 2009年6月24日に注文しても、納車は2010年2月中旬以降─。2009年5月18日に発売された3代目「プリウス」は、発売から1カ月で18万台の受注を獲得、2009年5月の新車販売台数(登録車)ランキングの1位となった。この月は、登録車に占めるハイブリッド車の比率が、ホンダ「インサイト」なども加えて10%を超えるというエポックメーキングな月となった。新型プリウスの登場は、ハイブリッド車を特別なクルマから、普通のクルマにする出来事だったといえるだろう。
 しかし、トヨタにとって新型プリウスの発売は、これから始まるハイブリッド車攻勢の第一弾に過ぎないようだ。新型プリウスのハイブリッドシステムの開発のとりまとめを担当したトヨタ自動車第2技術開発本部HVシステム開発統括部HVシステム開発室長の高岡俊文は、3代目プリウスに搭載したハイブリッドシステムの狙いをこう語る。
 「3代目を開発するにあたって、狙いが二つありました。一つは実用燃費を10%向上させることと、世界の排ガス基準に適合させること。二つ目は多くのユーザーにハイブリッド車に乗ってもらうために、プリウス以外の車種にも搭載できるシステムにすることです。このため出力にゆとりを持たせ、小型軽量化を目指しました」
 同社は2008年6月の環境フォーラムで、2010年代のできるだけ早い時期にハイブリッド車の年間販売台数を100万台にすると表明している。この目標達成に向けて、3代目プリウス向けに開発した新型ハイブリッドシステムを搭載した車種が、これから続々と登場してくるはすだ。

以下,『日経Automotive Technology』2009年9月号に掲載