2009年5月22日に都内で開催されたAUTOMOTIVE TECHNOLOGY DAY2009 spring(主催:日経BP社)では、安い・軽い・省燃費という現在の自動車に対する3大ニーズを実現する技術が並んだ(図)。

 トラック1「クルマを安くする製造技術」では、今後化ける可能性のある基礎技術について3大学が講演した。また、既に実用化の始まった技術について製造機械メーカー2社が紹介した。
 東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻教授の祖山均氏はショットを使わず、キャビテーションの力でピーニングし、鋼の疲労強度を約1.5倍にすることを提案した。ABBロボティクス事業部の岩田琢氏は車の生産コストを下げることにつながる自社の塗装技術について講演した。塗料を38%、エネルギを50%節約できる。大阪大学接合科学研究所准教授の藤井英俊氏はアーク溶接を5倍早くし、1/5の設備で溶接できることを示した。
 シンコー取締役専務の三浦孝久氏はヘム折りをロボット化するローラへミング技術についてプレゼンテーションした。ローラヘミング単独では加工時間が不足する場合に別のヘミングユニットを組み合わせる方法や、サービスパーツのような少量生産品を造るシステムなどを初めて紹介した。諏訪東京理科大学システム工学部機械システム工学科教授の竹増光家氏は、焼結した歯車をさらに転造する技術を見せた。高価な焼き入れ工程を極力省略できる。

以下,『日経Automotive Technology』2009年9月号に掲載
図 講演する日産自動車の高橋哲哉氏
4月からの減税措置に対応した低燃費車に採用した技術を説明した。