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「Emacs」に魅せられて,オープンソースに学ぶ

プログラマー・石黒邦宏を創ったもの(上)

2009/06/25 16:00
 

Webブラウザーなどの組み込みソフトウエアを開発するACCESS。そのCTOに就任した石黒邦宏は,月に数万行のソース・コードを書くすご腕のプログラマーとして鳴らした人物である。石黒は「今のインターネットはつまらない。もっと面白くなるはず」と言う。インターネットが秘める可能性を信じ,発展に力を注ぎ続けるからこそ,そんな言葉が飛び出す。石黒の信念はどのように形作られたのか。2回にわたって追う。

(写真:加藤 康)

 「あの石黒さんがACCESSに行くのか」。2006年2月28日,国内のインターネット関連の技術者を驚かせるニュースが駆け巡った。携帯電話機向けWebブラウザーなどを手掛けるACCESSが,米IP Infusion, Inc.を買収すると発表したのである。

 石黒邦宏は,IP Infusion社の共同創業者であり,当時CTOの任にあった技術者だ。インターネットの構築・運用に携わる古株の技術者で彼の名を知らぬ者はまず,いない。インターネット接続事業にかかわる国内の技術者の団体として1997年に設立された「JANOG(Japan Network Operators’Group)」の初代会長を務めるなど,黎明期にあった1990年代の国内のインターネットの発展に大きく貢献した人物だからだ。さらに,オープンソース・ソフトウエアの世界では,すご腕のプログラマーとして知られる。IP Infusion社創業の礎となったオープンソースのルーティング・ソフトウエア「GNU Zebra」を,たった一人で開発してしまった実績を持つ。

 IP Infusion社の買収から3年後,2009年2月に満を持して石黒はACCESSの最高技術責任者(CTO)に就任した。国内有数のソフトウエア・ベンチャーで技術面の舵取りを任される立場になった石黒は,こう語る。「少しは便利になったかもしれないけど,インターネットの黎明期にみんなが夢見た世界には程遠い。まだまだやらなきゃいけないことはたくさんある」。自信を持って未来を語る石黒の原点は,学生時代のある出会いにある。(文中敬称略)

『日経エレクトロニクス』2009年6月29日号より一部掲載

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