「新人にも分かる 工場安全のツボ」は,生産現場における本質安全構築の基礎を学べるQ&A方式のコラムです。現場で悩むことの多い工場安全の疑問とその回答を通じて,真の工場安全を実現するために必要な考え方や手法を紹介していきます。

【Q1】工場で使っている機械に「CE」というマーク(CEマーキング)が付いているのをよく見掛けますが,このマークは何を意味しているのですか?

 現場で日々の生産活動に従事する人にとって,使用する機械(部品も含む)は,可能な限り安全に配慮されたものでなければなりません。加えて,機械が安全である(一定の安全基準を満たしており,残留リスクが少ない)ことを分かりやすく示す必要もあります。

 そのための手段として,機械自体にマークを付けることが挙げられます。特に欧州向けの機械でよく見掛けるのが「CEマーキング」です。全世界に生産拠点を構え,設備の標準化を進めている企業では,CEマーキングが付いた欧州向け仕様の機械を国内でも採用していることが少なくありません。

 CEマーキングは,安全にかかわるEC指令(法律に相当)の必須安全要求事項に適合していることを示すものです。CEマーキングがあることによって,その製品は欧州域内で自由に流通することが許可されているのです。さらに,欧州以外の国や地域においても,安全に関する一つの“目安”として参考にできます。

〔以下,日経ものづくり2009年6月号に掲載〕

西原一寛(にしはら・いっかん)
IDEC 規格安全ソリューションセンター
IDEC技術本部規格安全ソリューションセンター室長。各種検出制御機器・機械安全制御機器・防爆安全制御機器の製品開発および事業企画に従事。現在,安全関連の講演のほか,機械装置メーカー/ユーザーに対し,リスクアセスメント支援を行う。セーフティ・リードアセッサ資格を有する。
前田育男(まえだ・いくお)
IDEC 規格安全ソリューションセンター
機械,制御,安全,防爆などに関する国際規格,欧州・北米各国規格/規制に基づく製品認証関連業務やリスクアセスメント支援に従事。現在,制御・安全技術に関するIEC(国際電気標準会議)の委員をはじめ,ロボット技術,防爆技術,機能安全技術,半導体製造装置関連の標準化活動に携わる。セーフティ・リードアセッサ資格を有する。
関野芳雄(せきの・よしお)
IDEC 規格安全ソリューションセンター
安全制御設計技術者として多くの製品開発に携わり,現在は,グローバルに通用する本質安全設計/安全防護の考え方などの安全技術指導や安全システム設計に従事。ISOロボット安全規格作成の国際委員としての経験を基に,機械メーカー/ユーザーに対する各種リスクアセスメント支援を行う。セーフティ・リードアセッサ資格を有する。
岡田和也(おかだ・かずや)
IDEC 規格安全ソリューションセンター
安全機器,システム,ネットワークなど,安全制御設計技術者としての経験を有し,現在は,ロボット制御セル生産システムのリスクアセスメントや安全システム設計に従事。ISOロボット安全規格の国際委員会委員,安全応用研究会専門委員会委員などの規格関連委員を務める。セーフティ・リードアセッサ資格を有する。