親会社の幹部が子会社のトップに天下るということが,日常の風景になっています。ところが,それが日本のものづくりの力を低下させる原因になっているのです。何しろ,子会社の仕事内容や現場のことを全く知らない人が,ある日突然トップとしてやって来るわけですから。その連中はたいてい,ゴルフして,高級店で飲み食いし,慣例で決まった4年ほどの任期を楽しく過ごしたらハイ,さようなら。上が腐れば下も腐っていくのは当たり前だよ。
天下りそのものが悪いとは言いません。適材適所でやるのならいい。でも,現実にはそうじゃない。要するに,格付けで天下りをやっておる。例えば,親会社の副社長だった人は一部上場の子会社のトップに,ただの取締役だったら非上場の子会社に,なんてね。適性なんてまるで考慮しない。これじゃ,子会社側はたまったもんじゃない。
〔以下,日経ものづくり2009年6月号に掲載〕(聞き手は本誌編集長 原田 衛)
シンフォニア テクノロジー 代表取締役会長