デンソーは、トヨタ自動車の一部のハイブリッド車向けにPCU(パワー・コントロール・ユニット)を提供している。
 トヨタ自動車の現在のハイブリッドシステムはすべて、空冷式ではなく水冷式である。ハイブリッド車は、フロントグリルのエンジンルーム側に、エンジン用のラジエータとは別に、ハイブリッドシステム専用のラジエータを配置する。ハイブリッドシステム用の冷却水は、PCUと駆動用モータを冷却する。
 トヨタ自動車はこれまで、「プリウス」や「クラウンハイブリッド」など、PCU内のパワー半導体を水冷で片面から冷やしていた。
 一方「レクサスLS600h」で採用した最新のPCUは、同じ水冷ながら両面冷却構造である(図)。放熱面積が広いため、片面冷却よりも冷える。体積当たりの出力は従来比60%向上した。同じ出力であれば、従来よりも体積は約30%、質量は約 20%低減できる。
 PCUは、インバータと昇降圧コンバータの役目がある。インバータは、2次電池の直流電圧をモータ駆動用の交流電圧へ変換する機能、もしくはモータが回生する交流電圧を直流電圧に変換する機能を持つ。昇降圧コンバータは、2次電池からモータへ供給する直流電圧を上げたり下げたりする。
 レクサスLS600hなど、高出力のハイブリッド車にPCUを提供するには、インバータと昇降圧コンバータの出力を高める、つまり電流を増やす必要がある。解決法の一つは、PCUが持つパワー半導体素子の数を増やすか、素子当たりに従来よりも多くの電流を流すことだ。

以下,『日経Automotive Technology』2009年7月号に掲載
図 ハイブリッド車のシステム構成(レクサスLS600h)
2次電池(Ni水素)とPCU(パワー・コントロール・ユニット)、駆動用モータ、発電機などで構成する。PCUは昇降圧コンバータ、インバータの機能を備える。