需要低迷にあえぐ自動車産業。国内および米国における生産・販売の状況に好材料は見え始めたのか。日本自動車工業会会長(ホンダ会長)の青木哲氏が4月の会長会見で今後の見通しを語った。

日本自動車工業会会長 ホンダ会長 青木哲氏

 国内の1〜3月の自動車生産は厳しい状況が続いている。経済全体の状況が回復していないことで、ユーザーの自動車に対する購買意欲が減退している。
 こうした中、2009年4月から始まった自動車取得税と重量税の減免税措置によってユーザーのクルマへの関心が高まり、販売店への来客数が増えており、受注増につながっていくと考えている。さらに、国内の自動車販売回復と低炭素社会の実現に大きく寄与すると期待しているのが、追加経済対策における環境性能に優れた自動車への補助金制度だ。
 日本自動車工業会は2009年度の国内4輪車総需要について約430万台を見込んでいるが、これは取得税、重量税の減免税措置を織り込んだ予想値。前述の追加経済対策では、13年を超えて使用している自動車をスクラップして一定の燃費基準を満たすクルマに買い換えた際に、補助金を支払う案が出ており、これが成立すれば需要をさらに押し上げるだろう。
 この補助金額は計算上では69万台の規模となる。こうした対策は需要を先食いするのではという意見もあるが、販売がひどく低迷している現在、まずは需要を押し上げる効果を望みたい。追加経済対策の補正予算が成立した場合には、その効果を分析して、販売見通しの改定に反映させたい。

以下,『日経Automotive Technology』2009年7月号に掲載