トヨタ自動車は2009年4月、新型ミニバン「ウィッシュ」を発売した(図)。エンジンの吸気バルブのリフト量を可変とする「バルブマチック」機構を全車種に搭載した。CVT(無段変速機)と組み合わせることで、従来と比べて燃費を15%向上した。

 エンジンは排気量1.8Lの「2ZR-FAE」と2.0Lの「3ZR-FAE」。3ZR-FAEは、「ノア/ヴォクシー」向けからバルブマチック機構を採用していたが、2ZR-FAEはウィッシュが初採用。
 同社はウィッシュ発表の場を借りて、バルブマチックでスロットル弁にもある程度の役割を持たせていることを明らかにした。吸気弁のリフト量を変化させて吸入空気量を制御するエンジンは、同社以外にも日産自動車の「VVEL」、ドイツBMW社の「バルブトロニック」があり、3社とも「リフト量で制御し、スロットル弁の代わりにする」というニュアンスで説明していた。トヨタはこの説明を少し改めた。
 スロットル弁の機能は二つある。バルブマチックのみで吸入空気量を制御すると、吸気管負圧がなくなる。ところが排ガスをきれいにし、燃費を向上させるという要求に応えるためにはどうしてもEGR(排ガス再循環)が必要になる。EGRを導入しやすくするためには吸気管負圧を積極的に使った方がよいので、スロットル弁を少し絞る。

以下,『日経Automotive Technology』2009年7月号に掲載
図 トヨタ自動車の「ウィッシュ」
先代よりも全長を30mm伸ばした。