トヨタ自動車は2009年3月、世界初となる三つの安全技術を実用化した。出会い頭での側面衝突事故を予測し、エアバッグを早く展開する「前側方プリクラッシュセーフティシステム」。前面衝突もしくは後面衝突の直前に、後席の背もたれを起こす「プリクラッシュシートバック」。側面衝突時に乗員間でぶつかる2次被害を抑える「後席センターエアバッグ」である。

 トヨタ自動車は、これら三つの安全技術を2009年3月に発売した新型「クラウンマジェスタ」に搭載した(図)。
 前側方プリクラッシュセーフティシステムは、交差点における出会い頭の側面衝突事故を予防する。相手車両に側面から衝突される可能性があると警告音を作動し、衝突が避けられない場合はエアバッグを早期に展開して安全性を高める。側突事故を含む出会い頭の事故は、死亡重傷事故件数の28%と最も多くを占める(2007年統計)。今回の技術を使えば、死亡重傷事故を大きく減らせる可能性がある。
 衝突を予測するために、斜め前方の障害物を検知する新しいミリ波レーダを採用した。フロントバンパーの左右に1個ずつ搭載する。見通しの良い交差点近くで、斜め前方から接近するクルマを検知できる。

以下,『日経Automotive Technology』2009年7月号に掲載
図 世界初の「前側方プリクラッシュセーフティシステム」
斜め前方の障害物を検知する。