2003年,千葉工業大学の一角に「fuRo」(未来ロボット技術研究センター)という風変わりな研究施設が設立された。所長に就任したのは,ロボットの研究・開発で広く知られる古田貴之。しかし,fuRoはただの研究機関ではない。そこには古田のある思いが詰まっていた。

fuRoから生み出されるロボット技術の一部。ロボットとは知的な機械の総称であり,それらを支えるのがロボティクス(ロボット工学)。ロボティクスは大きく,メカ,電子回路,理論から成るという
fuRoから生み出されるロボット技術の一部。ロボットとは知的な機械の総称であり,それらを支えるのがロボティクス(ロボット工学)。ロボティクスは大きく,メカ,電子回路,理論から成るという

 千葉工業大学内にあるfuRo(未来ロボット技術研究センター)は,その名の通り,未来のロボットを研究・開発する機関である。産学連携によってロボット関連の新しい産業を生み出すという目的もある。そしてもう一つ,千葉工業大学の未来ロボティクス学科と連携し,未来のロボット技術者の教育にも力を注いでいる。

 「ショッカー大作戦なんですよ」。

 fuRoの人材教育に関する取り組みを,所長である古田貴之は,ニコニコしながらそう説明する。ふざけているわけではない。彼の話はいつも,こうした遊び心とサービス精神にあふれている。まるで少年がそのまま大人になったかのように楽しげに話す姿からは,ロボットや仕事に対する彼のひたむきさや誠実さがにじみ出る。fuRoは,そんな古田の夢や思いが詰まった組織である。fuRoを理解するためには,まず古田の生い立ちを知る必要がある。ショッカー大作戦は,そこから生まれた彼なりの人生哲学だからだ。(文中敬称略)

『日経エレクトロニクス』2009年5月18日号より一部掲載

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