今から20年前の1989年,LEDと太陽電池を使った屋外照明が横浜みなとみらい21のグランモール公園に登場した。設計を担当したのは照明デザイナーの石井幹子氏だ。いよいよ一般照明として普及が始まろうというLEDに対して今,どのような思いを抱いているのか,照明用LEDユーザーの先駆者とも言うべき石井氏に聞いた。(聞き手は本誌編集長 田野倉 保雄,宇野 麻由子)

(写真:清水 盟貴)

─1990年前後という早い時期から,なぜLEDに注目したのですか。

 当時,最先端のものだから使ってみたいと考えました。照明デザインは,サイエンスとアートの両輪で走っているものです。そして,いつもsomething newを求められます。

 私はたぶん,世界で最も早くLEDを屋外照明に使ったデザイナーだと思います。グランモール公園では,広場に埋め込んだ太陽電池の周りにLEDをちりばめました。太陽光という自然エネルギーを使い,日没から日の出まで,青緑色のLEDがホタルのように光を増減させながら点滅を続ける,という幻想的な広場です。

 この施工例は当時,国内ではまだ早過ぎたのか,あまり注目されませんでした。海外では,LEDと太陽電池を結び付けた世界初の屋外照明として評価され,北米照明学会(Illuminating Engineering Society of North America)から特別賞を頂きました。電気を使う光源以外のもの,例えばキャンドルやガス灯では,照明デザインはできません。必ず電気を消費する以上,発電機能を備えた照明装置,つまり自己完結型のシステムは理想的だと考えています。

『日経エレクトロニクス』2009年4月20日号より一部掲載

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