日経オートモーティブ 連載 日本ペイント 第12回 塗料

意匠性高める新発色メカニズム
水性3ウェット塗装でVOC削減

塗料は製造ライン上でしか最終的な形にはならず正確には“部品”ではない。しかし、厚さ約100μmの塗膜で自動車の鋼板を保護し、10年以上の長期間にわたり外観の美しさを維持する点で“重要な部品”と言ってよい。意匠性と機能性の改善に加え、環境対応も進む自動車用塗料の方向性を日本ペイントに聞いた。


 一口に塗装といっても、自動車に塗られている塗料は多数の層を重ねることでその機能を発揮している。リン酸亜鉛による表面処理層の上に、さび止めとなる電着層、下地を整える中塗り層、塗色層となるベース層、表面を保護するクリア層を重ね、4 ~ 5 層で構成する(図)。このときベース層の中に顔料、金属粉やマイカ(雲母)などの光輝材を入れることで特定の波長の光を反射させ、それによって色を変えている。

塗膜の厚さは約100μm
塗膜の厚さは約100μm
鋼板に表面処理した後、電着塗装を施し、中塗り層、ベース層、クリア層の3層を形成する。