既存のインバータに比べて多くのメリットを備えるマトリックス・コンバータ。現時点で,安川電機と富士電機の2社が製品を市場に投入しているものの,後続メーカーが現れず,普及は思うように進んでいない。課題は価格にある。そこで,新たな用途を開拓するために,世界各地で応用開発が進んでいる。(山下 勝己=本誌)

伊東 淳一
長岡技術科学大学 電気系 准教授

 交流電力を直接,周波数や振幅が異なる交流電力に変換できるマトリックス・コンバータ。既存のインバータに比べると,小型化できる,変換効率を高められる,装置単体で電力回生を実現できる,変換効率の低下なしに電源高調波電流を削減できる,平滑用の電解コンデンサが不要なため装置寿命を延ばせる,といった多くのメリットを備えている。