家電製品における放熱が大きな課題となっている。小型・薄型,高機能・高性能な機器を実現しようとすれば,機器設計の早い段階から放熱について考慮する必要がある。どのように検討や設計を進めればよいのか,薄型液晶テレビを例に,2回に分けて具体的な検討方法を解説する。(宇野 麻由子=本誌)

大橋 繁男
日立製作所 機械研究所 第一部冷却実装ユニット 主任研究員

 薄型テレビの登場により,従来のようにテレビを部屋の片隅に置く必要はなくなった。その発展として,テレビを薄く,本体背面の凹凸や切れ込みを減らすなどして美しく整えることで,壁掛けはもちろんスタンドを使っても立てられる,レイアウト自由型のテレビを作る─。我々は2007年12月に発売した液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」の開発に当たり,こうしたコンセプトを定めた。