【直言】事故・不祥事をVEで考える ものづくりの原点は顧客の喜ぶ顔

 VE(Value Engineering)というと,すぐコスト削減を思い浮かべる人が多いが,それは間違い。もっと奥が深い。
 ここ数年,マンションの耐震偽装やトラックのハブの強度不足など,ものづくりの信頼を根底から覆すような事件が多発している。エレベータのロープの強度不足が明らかになり,さらには汚染米,うなぎや鶏肉の産地偽装,地下水中の有害物質のハムへの混入など,不祥事が相次ぐ。その背景として,行き過ぎたコスト削減が指摘されているが,これらをVEの視点から見るとどうなるか。VEの5原則に立ち返って,ものづくりの原点を考えてみたい。(以下,「日経ものづくり」2009年1月号に掲載)

さっさ・まつね
さっさ・まつね
1971年4月に日立建機に入社し設計を担当。1998年にイタリアFiat社との合弁会社に出向。2001年に日立建機に復帰,日本VE協会東日本支部長にも就任。2006年11月に物流資材会社の波南(本社茨城県土浦市)の社長に就く。