【特集】後悔しない設計

設計者が後悔するのはどんなときか。それは,自身が設計した製品で死亡や火災などの重大事故が起きたときではないだろうか。そこで「リスクアセスメント」の出番となる。リスクアセスメントは,従来行われてきた後付けの対策とは全く違う。重大事故の火種を探り当て,事前に徹底的に取り除く。このリスクアセスメントを使いこなせるようになれば, 「後悔しない設計」を実現できるはずだ。(高野 敦)

【特集】第1部 リスク管理時代を先取る

家電製品やオフィス機器など,一般消費者が使う商品の安全性を確保する手段として,リスクアセスメントの考え方を採用するメーカーが増えている。再発防止を主眼とした従来の取り組みに限界を感じているためだ(図)。(以下,「日経ものづくり」2009年1月号に掲載)

 

図●再発防止型から予防安全型へ
図●再発防止型から予防安全型へ
従来の知見の積み重ねである独自基準や業界基準,再発防止策などだけでは,重大事故リスクの見落としを防げない。リスクアセスメントという大きな傘を広げる必要がある。

【特集】第2部 開発プロセスをつくる

第1部で説明したように,再発防止策が機能しない“負の連鎖”から脱却するには,開発プロセスにリスクアセスメントを組み込み,重大事故リスクを取り除いていく必要がある。しかし,それは一筋縄ではいかない。開発プロセスの実態に合わせて進めていく必要がある。(以下,「日経ものづくり」2009年1月号に掲載)

 

図●リスクアセスメントを行うタイミング
図●リスクアセスメントを行うタイミング
企画や構想設計など開発プロセスのなるべく早いタイミングで行う必要がある。

【特集】第3部 人材と組織をつくる

「これまで,本社部門は事故を未然に防ぐための基準を作成しても,それを設計者がどう使うかまでは配慮していなかった」。富士ゼロックス品質本部環境商品安全部グループ長の柴田公博氏は,多くの企業が陥りやすい落とし穴についてこう指摘する。(以下,「日経ものづくり」2009年1月号に掲載)

 

図●富士ゼロックスの安全マネジメント・システム
図●富士ゼロックスの安全マネジメント・システム
製品安全の専門家である「セーフティマネージャー」を,設計など主要全部門に配置。セーフティマネージャーは,組織としての連携を進めるだけでなく,セーフティマネージャー同士での情報共有も積極的に進める。新規格や他社の事故情報など,ありとあらゆる情報にアンテナを張っている。