「生徒の1/3を,現役で国公立大学へ進学させます」─。2009年4月に開校する横浜サイエンスフロンティア高等学校(横浜SFH)の初代校長予定者として,同校開設準備室 室長に就任した佐藤春夫は,2008年4月の就任早々,居並ぶ横浜市教育委員会幹部の前でさらりと言ってのけた。その大胆な数値目標に,「校長に」と佐藤を口説き落とした張本人,同校開設準備担当部長の内田茂は,誰よりも驚いていた。

 こんな進学実績を持つ県内の公立高校は,トップ校の横浜翠嵐高等学校と,佐藤が育てた柏陽高等学校くらい。全く実績がなく,集まる生徒の質も未確定な新設の横浜SFHが掲げる目標としては,あまりに無謀に見えた。