ようこそ 直流給電の世界へ

第1部<総論>
データ・センターから家庭まで
変換ロスなくし,消費電力を低減

 電力を直流で機器に供給する,いわゆる「直流給電」に注目が集まっている。データ・センターやオフィス,工場,店舗,家庭など多分野で取り組みが顕著になってきた。直流給電にすれば,AC-DC変換の回数を減らし,かつ高効率な変換で消費電力を削減できる。地球温暖化への対応が迫られる中,直流給電は非常に有効な対策となり得る。データ・センターでは2009年から300~400Vの高電圧の直流給電の導入が始まり家庭では太陽電池の普及とともに2010年ごろから60V以下で導入が進みそうだ

第2部<開発動向>
市場形成はもう目の前
標準化と安全性が最後の壁に

 さまざまな市場分野において,開発が急ピッチに進む直流給電システム。既に,データ・センターにおいて48Vシステムの導入が始まっている。しかし,市場をさらに広げるには,乗り越えるべき課題が二つ残っている。直流電圧の標準化と安全性の確保である。特に,高電圧(HVDC)採用のデータ・センター向けと,一般の住宅向けには必須の課題だ。この二つの課題が解決されれば,直流給電の時代がグンと近づいてくる。