【解説】SiCインバータで EV、HEVにもっと力を

SiCインバータを載せたクルマが走り始めた。 次世代のパワー素子として期待されてきたSiC。 開発は思いのほか難航したが、「走る」段階になった。 電力を無駄なく使え、価格も総合的には下がる可能性がある。 今後のEV、HEVに欠かせない部品に育ちそうだ。

 2008年9月、神奈川県横須賀市にある日産自動車のテストコースを、燃料電池車「X-TRAIL FCV」が走った(図)。既に10台を超える試作車があり、横浜でハイヤーとして走るもの、ドイツ・ニュルブルクリンクのテストコースで燃料電池車としてのラップタイム記録を作るもの、さまざまな活躍をしている「X-TRAIL FCV」の中でも特別な1台である。
 “特別”のゆえんはモータを制御するインバータの素子。普通のS(i ケイ素)製でなくSiC(炭化ケイ素)製を使った。公表したものでは、今のところ世界で1台の、SiCで走るクルマだ。

史上初のSiCインバータ車「X-TRAIL FCV」
史上初のSiCインバータ車「X-TRAIL FCV」
日産自動車、追浜テストコースのバンクを行く。