【私が考えるものづくり】たなかじゅん 漫画家 鉄工所の楽しさを伝えたい

 漫画家としての自信を失っていた時期があったんです。
 学生の時から漫画家になりたくて作品を投稿していたんですが,もうこれで駄目だったら就職活動だという時,賞をもらいまして。初めての連載は,漫画誌の編集部の人に「こういうネタで」って言われて描いたものでした。しかし,それがすぐ打ち切りになった。半年後にまた連載が始まり,なんとか単行本になりましたが「もう君は要らない」と言われました。
 その後もいくつか仕事をしながら,いろいろな編集部を回ったんですが,ボロクソに言われました。「君の才能が分からない」「この先,漫画家としてやっていけるかもしれないけど,細々とだね」などなど。これを真正面から受け止めてしまって「もう僕は駄目だ」と。それから半年くらい何もする気がせず,布団をかぶって寝ていました。もうずいぶん昔の話ですが。(以下,「日経ものづくり」2008年12月号に掲載)