第1部<提言>
ユーザーのわがままを満たす
楽しいテレビの実現へ

 テレビこそがお茶の間の「どこでもドア」になる─。1990年代後半から語られたネット・テレビのビジョンが,いよいよ現実味を帯び始めた。家族の誰にでも使える軽快な操作感,使い勝手を備え,放送局と連携し,より放送を面白くするサービスを実現する。ネット接続率の高まりや,SoCなどハードウエアの性能の向上が両輪となって,未来のテレビを理想の姿に近づける。

第2部<取り組み>
ユーザーの特性を見極め
テレビの楽しさを増幅する

 次世代テレビの開発には,あらためてユーザーの視聴行動を理解し直す必要がある。ユーザーは,視聴の状況に応じてテレビへの関心を大きく変えてしまうからだ。未来のテレビの実現に向けた現時点の取り組みは概ね三つに分類できる。誰もが使えるUIであるリモコンを活用する試み,Webコンテンツを放送映像に重ねる形で表示する試み,そして放送ログや視聴者の感想,コメントなどメタデータを活用する試みである。