佐竹 繁春
野村総合研究所 公共経営戦略コンサルティング部 主任コンサルタント

 「資源」「オイルマネー」「金持ち」という印象が強い中東の産油国が,「脱石油依存型経済」を目指して対策を急いでいる。将来の枯渇もしくは新エネルギーの台頭に伴う石油時代の終焉に対する危機感,そして第1次・第2次オイルショック(中東産油国にとっては「オイル・ブーム」)の際に大金をうまく使いこなせなかったという反省に基づく動きである。こうした危機意識は,特に国家の中枢を担う王族ほど高いといわれる。

 脱石油依存型経済のモデルと目されているのが,既に石油がほぼ枯渇し,早期にこの方向に舵を切ったドバイ(アラブ首長国連邦(UAE)の一つ)だ。同首長国は物流のハブや金融センターを目指して,早くから大規模な港湾・空港などのインフラおよび都市整備を進めた。その結果として海外からの投資を集め,今日,その「沸騰」ぶりが注目されるほどになった。