第1部<進化の道筋>
速くて安い,しかも世界共通
ケータイの常識が変わる

 次世代のモバイル・ブロードバンド技術として本命視されるLTE。2012年ごろには速くて安い,ユーザーに不満を感じさせない移動体通信が本格化する。LTEのインパクトは,それだけではない。世界中の通信事業者が同一の方式に集まることで,瞬く間にコモディティー化する可能性が高い。携帯電話機だけでなく,パソコンやさまざまな家電にLTEが入ってくることになる。この新しい状況をどのように生かすかが,すべての機器メーカーに与えられた課題となる。

第2部<サービス動向>
LTEは日本と米国が基点に
インドやアフリカはWiMAX

 モバイル・ブロードバンド技術を利用した高速サービスが,これから数年のうちに世界中に導入されていく。ただし,その地域の歴史的背景や携帯電話事業者の動向により,採用される技術方式には大きな差異が生じることになりそうだ。日米欧といった先進地域の取り組みのほか,市場規模の大きい新興地域の動きからも目が離せない。

第3部<性能向上のシナリオ>
いつの間にか「4G」へ昇華
1Gビット/秒超を目指す

 速度のスケーラビリティー,低遅延,パワー・アンプへの要求緩和などサービスを提供する際に予想される,さまざまな問題への配慮を先取りしてちりばめることで,LTEは幅広い支持を獲得した。導入は始まりにすぎない。LTEは今後,さらに進化する。より広い帯域の利用,フェムトセル,先端MIMO技術との組み合わせなどが準備されているからだ。進化し続けることでLTEはいつの間にか,「3.9G」ではなく,「4G」に姿を変える可能性もある。