「通信と放送の融合」が実現すれば,30兆円規模の市場が生まれる可能性がある。後編では,現在,総務省を中心に法制化が進んでいる「情報通信法」(仮称)の概要と,電波利用の新たな動きについて解説する。(佐伯 真也=本誌)

中村 伊知哉
慶応義塾大学 メディアデザイン研究科 教授

 本連載の前編では,日本と米国を中心に,過去20年から現在までの動きと課題を紹介した。後編では,「通信と放送の融合」に向けた法制化の動きについて説明したい。

 前編の後半部分で述べたが,日本のさまざまな技術分野での競争力が低下している。このような状況を打破するために総務省は,2006年1月から「通信・放送の在り方に関する懇談会」を立ち上げて,通信と放送関連の制度の課題を取りまとめた。通信と放送の融合に向けた課題は,大きく二つ挙げられる。