「ほんまか?」─。H.264エンコーダが1チップに入るかもしれないという半導体部門の言葉に,レコーダー部門の中村和彦(現・パナソニックAVCネットワークス社 ネットワーク事業グループ ビデオビジネスユニット 商品技術グループ グループマネージャ)と瀧川晋一郎(同グループ HDレコーダー/BD総括担当 参事)は耳を疑った。H.264を1チップでやりたいと口では言っていたものの,本当にできるとは思っていなかったからだ。

 中村と瀧川は半信半疑のまま技術者たちを集め,半導体部門が主張する1チップ化の可能性を詳細に検討した。すると,本当に1チップに入りそうなことが分かってきた。「ほとんど発見に近かった。到底無理やと思っていたのに,実際にはそうでもなかった。何でも一遍は口に出してみるもんやと思った」(瀧川)。