「半導体の微細化は,90nm世代に壁がある。現在,車載用32ビット・マイコンの量産品は120nm世代の製造技術を使っている。開発段階では40~90nm世代の製造技術を用いている。ただし,今後はあまり微細化には期待できないだろう」(トヨタ自動車)。このような声が,半導体ユーザーの間で声高に叫ばれるようになった。

 半導体ユーザーの間で微細化不要論が巻き起こっている大きな理由は,半導体の微細化が進むにつれてASICやASSPの開発費が急増していること。これまでASICやASSPはセルベース方式のLSIが大半を占めており,設計ルールが90nm世代の場合,開発費は約1億円に上る。これが65nm世代になると約2億円になるとされる。開発費が急増するのは,半導体の回路形成に用いるマスク・セットの費用がかさむためだ。