パワー・アンプやLCフィルタといったアナログ部品を不要にし,オーディオ再生回路を大幅に簡略化する─。オーディオ再生回路の常識を劇的に変えそうなデジタル・スピーカーを,信号処理技術の開発ベンチャーTrigence Semiconductorと法政大学 理工学部 教授の安田彰氏の研究グループが共同開発した。このスピーカーはデジタル・オーディオ信号を直接入力して駆動できる。法政大学が,2008年5月17~20日にオランダで開催されたオーディオの学会/展示会「124th Audio Engineering Society Convention」で詳細を発表した。

 Trigenceと法政大学は,ダイナミック・スピーカーといった一般的なスピーカーならば1.5V程度で駆動できることや,さらには音質を高く保ちながらオーディオ・システムを小型化できることもデジタル・スピーカーの特徴に掲げる。駆動電圧は,従来12V程度の電源で駆動していたLCフィルタが不要なために低くできる。